〜皮膚糸状菌症とは??〜
別名「猫カビ」とも呼ばれ、人間でいう水虫と同じような感染症です。
皮膚糸状菌という真菌(読み方:しんきん)に感染することで、顔や耳、手足(四肢)に円形の脱毛が見られ、その周りにカサブタやフケが出たりという症状が出ます。
この菌はケラチンを好み、皮膚表面や毛に感染することがほとんどです。
猫ちゃんによっては、皮膚糸状菌症に感染していても、体調への変化が出ない場合もありますが、中には強い痒みが生じ、その周りをボロボロと掻いてしまってカサブタを作ってしまうこともあります。
特に梅雨時期から夏の終わりにかけて、高温多湿の時期になると、カビ菌は繁殖しやすい環境になるため、注意が必要です。
また、この病気は犬などの動物や人間にも感染し、人獣共通感染症(ズーノーシス)としても知られています。
〜どんな症状が出るの??〜
下記のような症状が出ます。
・発疹(赤いブツブツができる)
・円形脱毛症
・脱毛部のカサブタ
・脱毛部にフケ
・痒み
皮膚に赤いブツブツができ、痒みが一緒にある場合は、猫ちゃんはどうしても掻いてしまいます。人間でも痒みを我慢できないときは掻いてしまいますね。
ただ、猫ちゃんに「掻いちゃダメだよ」と言ったところで伝わりません。
そして、掻いてしまった部分がただれてしまい、カサブタになります。カサブタの部分にまた痒みが出てくるので、再度掻いてしまい同じことを繰り返してしまいます。
脱毛が生じてしまう場合は、大きさはだいたい1cm〜10円玉くらいの大きさになります。その脱毛部の周りを見ると、瘡蓋ができていたり、頭垢が出ていたりします。
猫ちゃんによっては皮膚糸状菌に感染していても、症状が出ず、普段通りに生活できる猫ちゃんもいます。
免疫力が低下していると症状が出てくることがあります。子猫ちゃんや老猫ちゃんの場合は成猫ちゃんより免疫力が低いため、感染しやすい傾向があります。
猫エイズウイルス感染症(FIV)や猫白血病ウイルス感染症(FeLV)などに感染していたり、他の病気にもかかっている猫ちゃんの場合、皮膚糸状菌症の発症が多く見られます。
〜原因はなんなの??〜
原因は、「接触感染」と「免疫力低下」が挙げられます。
接触感染
感染している猫ちゃんやワンちゃんとじゃれ合ったりすることで接触感染します。
皮膚糸状菌は犬猫また人間関係なく感染する菌のため、猫ちゃんだけしかいない環境というのは関係なく感染します。
飼い主さんが感染していて、猫ちゃんに移してしまうこともあります。
ペットショップでも感染してしまうこともあり、ペットショップで感染している動物と触れ合った後に、愛猫ちゃんを触ることで真菌が移ってしまうことがあります。
野良猫ちゃんを触ったときも同様です。
免疫力低下
他の病気にかかっていたり、子猫ちゃんや老猫ちゃんだったりする場合、免疫力が低下しています。
体が健康で元気なうちは感染していても症状が出ないこともありますが、免疫力が低下することで、菌の活動が活発になります。
免疫力は普段の生活環境で身体的や精神的にストレスを感じているときにも低下します。
多頭飼いをしているご家庭で、あまり猫ちゃん同士が仲良くないとそれだけでも猫ちゃんにとってはストレスになります。
それにより、免疫力が低下し、皮膚糸状菌症に感染してしまうこともあります。
〜治療方法はどんな感じ??〜
治療法は「薬の投与」や「患部の毛を刈る」などがあります。下記のとおりです。
塗り薬や内服薬を投与
抗菌薬が入った軟膏を患部に塗ったり、抗菌薬を飲ませることで治療できます。
抗菌薬が入ったシャンプーもありますので、それで体を洗ってあげることで菌を死滅させることができます。
患部周辺の毛を刈る
軟膏を塗りやすくするという目的もありますが、感染部がそれ以上拡大しないように毛を刈ることも治療法の一つです。
特に毛の長い猫ちゃんの場合、毛の内部は高温多湿状態のため、菌が繁殖しやすくなります。
菌の繁殖を防ぐために患部が毛に埋もれないようにすることが大事になってきます。
症状の状態によっては、全身の毛を刈る必要も出てきます。
また、患部を舐めてしまうことが多いので、エリザベスカラーを首に付けて、患部を舐めないようにすることもあります。
皮膚糸状菌症(猫カビ)は非常にしつこい菌で、完治させるのに数ヶ月〜半年ほどかかります。
定期的に動物病院で獣医師さんに診てもらいながら、根気強く猫ちゃんと治療に向き合ってください。
〜予防方法はあるの??〜
予防方法は下記のとおりです。
・完全室内飼い
・部屋を清潔にする
・ベッドやマットの洗浄
・免疫力が低下しないようにする
・人間から感染しないようにする
完全室内飼い
感染経路で接触感染があるため、野良猫ちゃんなどと接触することをなくせば、感染するリスクは低減できます。
外出しているとどうしてもどこで何をしているかなんてわかりませんので、感染している野良猫ちゃんとじゃれ合ったり、ケンカしたり、また皮膚糸状菌が存在する環境に出入りしている可能性もあるため、完全室内飼いをオススメします。
部屋を清潔にする
皮膚糸状菌はカビなので、普段から空気中に漂っています。
カーテンの裏や空気が通りにくい場所はカビが繁殖する最高の状態となってしまいます。
ただ、一般的に部屋の中を無菌状態にすることは不可能なので、できるだけ菌の繁殖を抑えることが大事になってきます。
部屋の換気、カーテン等を定期的に洗うことが重要です。特に梅雨時期から夏の終わりにかけて高温多湿状態が続きます。
そうするとカビは繁殖するので、除湿やクーラーを付けて湿度を取り除いたり、カビが付着したカーテン等を洗ってください。
ベッドやマットの洗浄
上記に書いたように、カーテン等同様、猫ちゃんのベッドやマットにも菌は付着します。
ペット用の洗剤や漂白剤を用いてこまめに洗うことによって、猫ちゃんに感染するリスクを低減させることができます。
菌は60℃以上のお湯に10分程度浸けることによって死滅させることができます。
ゆで卵を作ることと原理は同じで、タンパク質は60℃で固まります。その原理で菌を死滅できます。
また、天日干しを数時間するだけでも菌の死滅効果はあります。直接猫ちゃんの肌に触れる部分だけでも天日干しをすることは簡単だと思うので、明日から行ってください。
免疫力が低下しないようにする
健康状態で発症していない場合、免疫力が低下することで菌が活発になり、発症します。
猫ちゃんが普段から健康に生活できるように栄養面、生活環境面を整えてください。先ほどのベッドやマットの洗浄もその中の一つです。
定期的に健康診断を受け、ワクチン等で他の病気を予防することも皮膚糸状菌症から猫ちゃんを守る一つの予防策です。
他の病気に感染しているとそれだけで免疫力が低下するため、重複感染しないように注意を払ってください。
人間から感染しないようにする
人獣共通感染症のため、人間を介して猫ちゃんに移ります。
人間が使用したタオルやマット等に菌が付着していて、それを猫ちゃんが触ることで感染します。
水虫や真菌症と同様の病気なので、これらに感染している方は猫ちゃんに触れることがないようにしてください。
可愛い愛猫ちゃんと触れ合うことができなくなるのは難しいのはわかります。
しかし、感染して苦しむのは猫ちゃんも一緒です。まずは飼い主さんがしっかり直してから猫ちゃんと触れ合ってください。そのくらいの気持ちで接してください。
〜結局のところ〜
猫ちゃん同士だけでなく、ワンちゃんからや人間から移ることのあるこの病気は結構厄介です。
何度も書きますが、猫ちゃんが普段と様子が違うときに「しばらく様子を見てみよう」は禁物です。
そのままにしておくと重症化してしまい、猫ちゃんがさらに辛い思いをすることになるので、異変を感じたらすぐに病院へ連れていってあげてください。
普段から部屋を清潔に保ったり、食事面、生活環境面を整えてあげることで、感染のリスクを減らすことができます。
これは他の病気も同じなので、できるだけ長く愛猫ちゃんと楽しい毎日を過ごせるよう、気をつけてお過ごしください。
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最後に
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