〜猫エイズウイルス感染症とは??〜
正式名称は「猫後天性免疫不全症候群(ねここうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)」といい、ネコ免疫不全ウイルス(FIV)により感染することで発症します。
正式名称が長いため、単に「猫エイズ」とも呼ばれます。最初に発見されたのは1986年と比較的新しい病気のような感じですが、おそらくそれはただ発見されていなかっただけで、それ以前からも存在していた病気と推測されています。
症状としては、徐々に免疫が働かなくなり、病気に対する抵抗力が弱まり、結膜炎や口内炎、下痢、口臭など様々な症状が出ます。
同時に他の病気が併発し、そうなると症状が重くなります。
長い時間をかけて体が弱っていくため、飼い主さんが気付かないことも多く、治療が難しい病気です。
雄猫と雌猫のスキンシップや猫ちゃん同士のケンカなどで噛まれたときに移り、感染することが多いです。
根本的に完治させる治療法がいまだに見つかっていない病気ですが、症状が出ず、元気なまま一生を終える猫ちゃんもいるので、もしも仮に飼い猫ちゃんが「猫エイズ」と診断されたとしても、悲観しすぎず、飼い主としてしっかりと病気と付き合っていきましょう
猫ちゃんはもちろん言葉は通じないため、元気な間は猫ちゃん自身はわかりません。
でも飼い主さんはわかります。メンタルに来るかもしれません。でもあなたの猫ちゃんは一生懸命生きています。普段どおり、変わりなく愛情を注いであげることが、猫ちゃんが長生きする秘訣でもありますので、その気配りだけは守ってください。私からのお願いです。
〜猫エイズは人には移るの??〜
「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」は「ヒト免疫不全ウイルス(HIV)」と同じ仲間の「レトロウイルス科レンチウイルス属」に分類されるウイルスですが、人間には移ることはありませんのでご安心ください。
猫エイズの猫ちゃんに噛まれたからといって、人間がエイズを発症することはありません。普段と変わりなく生活できます。
また、ワンちゃんと一緒に飼っている飼い主さんもいると思いますが、犬にも移ることはありません。ネコおよびネコ属(ライオンやトラ)に特異的なウイルスなためです。
〜猫エイズの症状や潜伏期間は??〜
急性期:ウイルスに感染
まずは急性期の症状が現れます。エイズウイルスに感染した全ての猫に見られるわけではありませんが、一般的に感染後数週間ほどで発熱・リンパ節腫大・白血球減少・貧血・下痢などの症状がみられるようになり、こうした軽い症状が1ヶ月~1年くらい続きます。
同時に血液中に「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」に対する抗体(抗FIV抗体)が現れるようになります。
無症状キャリア期:潜伏期間
急性期に見られた症状が出なくなり、無症状キャリア期と呼ばれるフェーズに入ります。急性期に悪さをしていたウイルスが一旦攻撃をやめ、体内のリンパ球の中に潜んでいる状態です。
それと同時に症状も消えるため、一見病気が治ってしまったかのように、いつも通りの猫ちゃんに戻りますがこれは、完治しているわけではありません。
この潜伏期間中にもエイズウイルスは猫ちゃんの体内でリンパ球を破壊し続け、少しずつ免疫力を奪っていきます。
猫ちゃんによりますが、無症状キャリア期は通常だと4~5年、長くて10年以上続きます。中には発症しないまま一生を終える猫ちゃんもいます。
猫エイズ発症期
無症状キャリア期が終わると、いわゆるエイズ(後天性免疫不全症候群)を発症し、エイズ発症期と呼ばれる時期に入ります。さらに細かく分けてみます。
●持続性リンパ節腫大期:発症
エイズウイルスが動き出すことで、白血球などの免疫細胞が活発になります。免疫細胞が固まって、存在している全身のリンパ節が腫れる等の症状が見られます。
●エイズ関連症候群期:免疫力の低下
免疫力が落ちていくことで、体が細菌などに負けて色々な場所で異変が起こります。口内炎がなかなか治らなかったり、皮膚に異常が出るなどの症状が現れます。
症状を箇条書きにしてみると、
・歯肉炎
・歯周組織などの炎症
・細菌感染による口内炎
・口の中の潰瘍(かいよう)
・口臭
・よだれ
・体重減少
・嘔吐
・下痢
・風邪をよくひくようになる
・風邪がなかなか治らない
●後天性免疫不全症候群期:免疫が完全に無くなる
免疫機能が完全に失われることで、臓器障害や日和見感染症など様々な症状が出て、最終的に命を落とします。
通常の健康体であれば全く問題にならないような普通の風邪でも、その原因となる些細な菌や腸内細菌に体が負けてしまいます。
「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」によって骨髄が破壊され、新たな赤血球を作り出せなくなり、貧血になってしまいます。
また、普段ガン細胞は日々、体の中で作られていますが、元気なうちは免疫力でガン細胞を抑え込んでいます。
しかし、免疫力がなくなってしまえば、押さえ込めなくなったガン細胞が増殖し、腫瘍となります。
・日和見感染症
・皮膚炎
・食欲低下
・脱水症状
・肺炎
・胸膜炎
・貧血
・ガン(悪性腫瘍)
〜猫エイズの原因はなんなの??〜
多いのは「接触感染」、「母子感染(垂直感染)」です。他の風邪のように「空気感染」はしません。
接触感染
「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」の主な感染ルートは、猫ちゃん同士の喧嘩・交尾での体液の交換によるものです。
喧嘩による感染ルートにおいて、「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」は感染している猫の唾液中に含まれており、ウイルスを持っている猫から噛まれることで感染することが多いため、他の猫ちゃんとの触れ合う機会が多い外に出かけることのある飼い猫ちゃんは、室内飼いの猫ちゃんと比較すると、感染率は20倍ほど高いというデータがあります。
また、オス猫の方が喧嘩をすることが多く、感染しやすいために、メス猫に比べて感染率が2倍以上多いというデータもあります。
交尾による感染ルートにおいて、体液の交換からよりもオス猫がメス猫にネックグリップ(首筋にかみつく)することで、その傷口から唾液が入り込み、感染することの方が臨床上は大きな原因とされています。
猫エイズウイルス自体の感染力は一般的な消毒剤で死滅するほど弱く、猫同士の舐め合い、食器の共用、授乳などによって感染する可能性はほとんどありません。
母子感染(垂直感染)
母子感染(垂直感染)による「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」の主な感染ルートは、感染しているお母さん猫の胎盤を経由して、子宮内にいる子猫ちゃんに感染するルートです。
そのため、胎仔の発達停止、流産、死産などが起こりますが、確率的にそう高くはありません。
〜猫エイズの治療方法はどんな感じ??〜
現在「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」に対する根本的な治療方法はまだ見つかっていません。
発症後に免疫力が低下して細菌感染を起こさないように、抗生物質などが使用されることが一般的です。
また、発症を遅らせるために猫ちゃんにストレスを極力与えずに健康状態を保つことが大事になってきます。
発症してしまったら、下記のような症状に合わせた対症療法をしたり、猫ちゃんの免疫力を上げるための治療をしたりなどがあります。
対症療法
体内にいる「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」自体を消滅させる特効薬がいまだ無いため、「猫エイズ」にて現れた様々な症状に合わせて、それぞれの対症治療が基本となります。
具体的には、下痢や外耳炎に対する抗菌薬や抗真菌薬の投与、歯肉炎や口内炎の治療、ネコインターフェロンによる免疫力の補助、貧血に対する輸血などです。
ウイルスとの接触を避ける
「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」の主な感染経路は、猫ちゃん同士の喧嘩・交尾での体液の交換による接触感染です。
放し飼いで猫ちゃんが自由に外へとお出かけできる環境下だと、必然的に他の猫ちゃんとの接触機会も増えます。
「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」を持っている猫ちゃんと接触させないためには、まずは「完全室内飼い」を徹底することが重要です。
また、多頭飼いをする場合は、猫ちゃんが「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」に感染していないか、あらかじめ猫エイズ検査を受け、確認してから共同生活を始めるという手順が必須です。
ワクチン接種(フェロバックスFIV)
未感染の猫ちゃんへの「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」のワクチン接種が有効なこともあります。しかし、感染を100%防げるものではありません。
日本では2008年8月から「フェロバックスFIV」という商品名の猫エイズワクチンが発売されています。
初年度は2~3週間隔で3回接種し、翌年からは1年1回のペースで再接種します。ワクチンはあくまでも予防にするあり、一度感染しまうとそのウイルスを死滅させる効果はありません。
ただし、管理人の私見ですが、ワクチン接種はあまりおすすめできません。
理由は、ワクチンを打った箇所に悪性の腫瘍ができてしまったり、そこまでいかなくても炎症したりすることがあり、猫ちゃんの体質によっては下痢や発熱、嘔吐や、過剰反応をしやすい猫ちゃんだとアレルギー反応が起こることもあるからです。
猫エイズの予防をする代償に別の症状が出てしまう可能性があるからです。
健康な猫ちゃんであれば、自身の免疫力で「ネコ免疫不全ウイルス(FIV)」を押さえ込めることが多いと言われています。
潜伏期間のまま、発症をせず一生を終える猫ちゃんもたくさんいるので、飼い主さんは清潔で快適な環境づくりを維持してあげてください。
水入れを綺麗にしこまめに水を替え、食器は毎回洗ってから使いましょう。猫ちゃんは綺麗好きです。
飼い猫ちゃんがいつでも綺麗なトイレに行けるようにトイレを日々清潔にしてください。
「トイレ掃除は1日1回」など人間の都合で考えず、できるだけおしっこもウンチも常に無い状態にしてあげてください。
また、体重も増えすぎたり減りすぎたりしないよう気を配ってあげてください。
体重管理も大切な健康管理ですよ!
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最後に
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