〜猫汎白血球減少症とは??〜
猫汎白血球減少症(読み方:ねこはんはっけっきゅうげんしょうしょう)とは、猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)(別名:パルボウイスル)が原因で起こる伝染性の胃腸炎です。
この感染症は、別名「猫パルボウイルス感染症」、「猫伝染性腸炎」、「猫ジステンパー」とも呼ばれ、伝染性や致死率が高く、消毒による予防が非常に難しい病気となっています。
このウイルスは、非常に生命力が強いウイルスで、猫ちゃんの体外に出てからも通常の環境で約3年間は生存し、室温以下であれば1年以上感染力を保ち、例えば真夏の30℃以上の炎天下でも数ヶ月以上生存できることがわかっています。
これほど長い期間感染力を持ち続けるウイルスは、自然界で他にはありません。
また、血液検査で血液中の白血球の数が少なくなってしまうため、免疫力が低下し、細菌やウイルスにより他の病気にも感染してしまい、合併症を起こしやすくなります。
また、病名に「猫」と付いていますが、中には犬、アライグマ科の動物(ハナグマ・アライグマなど)、イタチ科の動物(ミンクなど)にも感染することがわかっています。
〜どんな症状が出るの??〜
症状には以下のようなものがあります。
感染してすぐ
食欲・元気がなくなり、じっとうずくまり動かなくなります。
潜伏期間
ウイルスは約2~12日間の潜伏し、食中毒に似た激しい嘔吐、下痢、食欲不振といった症状にともなって39度以上の高熱がみられます。
嘔吐や下痢が、ひどくなるとトマトジュースのようなさらさらした水状の血便をするようになり、脱水症状で衰弱してきます。
また、2〜6ヶ月齢の子猫ちゃんでは重症化することが多いです。成猫ちゃんにおいては早期治療すれば死亡率は低いです。
〜原因はなんなの??〜
多いのは「接触感染」、「母子感染(垂直感染)」です。
接触感染
ウイルスに感染している猫ちゃんとの接触や、糞便や嘔吐物、それらが乾燥して飛沫(ひまつ)、粉塵(ふんじん)になったものを口や鼻から吸い込むことで感染します。
外出する猫ちゃんの場合、不特定多数の猫ちゃんとの接触があると思います。その際に、感染した猫ちゃんからもらったり、帰り道に糞便や嘔吐物などを触り、それを口から摂取してしまうことで感染することがあります。
また、ペットショップや動物病院でも感染した猫ちゃんもいます。
ペットショップでは、感染していることがわかっているにも関わらずショーケースに入れている悪質な店舗もあると聞いています。
動物病院では、猫ちゃん同士が直接接触していなくても、飼い主さんが気付かずうちにウイルスに接触し、それが服や靴、肌などに残り、飼い猫ちゃんに移ってしまうということもあります。
動物病院に限らず、野良猫ちゃんを触ったり、何気なく触ったものからウイルスがくっついてしまうことがあります。
先ほども書きましたが、猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)(別名:パルボウイスル)は生命力が高く、長い期間生存するといわれていますので、猫ちゃん同士の直接的な接触が無くても、道路や木にかけたおしっこなどから間接的に感染する可能性があるので気をつけてください。
飼い主さんは家に帰ったら、必ず手洗いはしてください。
母子感染(垂直感染)
妊娠中の母猫が感染した場合には、胎盤を経由して胎児にも感染し、流産や死産となることが多く、仮に出産できたとしても生まれてきた子猫ちゃんの小脳に異常が残ったりと先天性の異常が遺伝されてしまうことがあります。
〜治療方法はどんな感じ??〜
猫汎白血球減少症の治療には、いまだ特効薬がなく、その場しのぎの「対症療法」のみです。
ウイルス自体を殺す事はできないので、症状を軽減させる治療法が行われます。主にインターフェロンや抗生物質の投与、点滴となります。
インターフェロンは、猫ちゃん自身が持つ免疫力を維持させることを期待して、投与されます。
抗生物質は、腸内細菌による二次感染を抑制する目的として投与されます。
点滴は、嘔吐や下痢により脱水症状を起こし、それで失われた体内の水分や電解質(ナトリウムや塩素などのイオン成分)を補給するために行います。
〜予防方法はあるの??〜
猫ちゃんのワクチンについては、3種混合ワクチンがコアワクチンとしての主流となっており、この3種類の内訳として、猫ウイルス性鼻気管炎、猫カリシウイルス感染症、そして猫汎白血球減少症のです。
ただ、副作用をもたらすことがあり、接種する際は獣医師さんと相談の上、その猫ちゃんに合ったものを選び、接種させることが大切になってきます。
ちなみに猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)(別名:パルボウイスル)に対する免疫は、一度ワクチン接種によって取り込むとほぼ一生涯にわたって効果がありますが、1~3年おきに接種してもいいものなので追加接種を行うこともあります。副作用を起こすこともあるので、獣医師さんとよく相談してください。
また、多頭飼いをしているご家庭の場合、他の猫ちゃんに病気を移さないようにワクチン接種するか、感染してしまった猫ちゃんが出てしまったら厳重に隔離することも必要となってきます。
ウイルスは生命力が強く、長期存在するので、チリやホコリ、便等の取扱いに注意し、塩素系の消毒薬で感染した猫ちゃんが使った食器、便器等を消毒することも予防方法になります。
〜結局のところ〜
いろんなページで書いていますが、「しばらく様子を見てみよう」はとても危険な判断です。猫ちゃんがいつもと違う行動・症状を見せた場合にはすぐに病院へ連れていき、獣医師さんに見てもらうことが愛猫ちゃんが重症化しない最善策です。
飼い主さんが普段から気をつけることは、
・帰ったら手洗い
・室内の環境を整える
・完全室内飼いにする
等です。
3つ目の「完全室内飼いにする」はもしかしたら難しいご家庭、猫ちゃんもいるかもしれません。
ただ、猫ちゃんと1日でも長く一生をともに過ごすことを考えたら大切なことになってくると私は思っております。
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最後に
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