〜猫カリシウイルス感染症(猫インフルエンザ)とは??〜
ネコカリシウイルス(FCV)の感染が原因で発症する猫風邪の一種です。非常に頻度が高いことから「猫インフルエンザ」とも呼ばれます。
お母さん猫から受け継がれた免疫力が弱まってくる、だいたい生後6週前後から10週前後の子猫ちゃんに多く発症します。代表的な猫風邪と呼ばれる種類の中で「猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)」がありますが、この猫カリシウイルス感染症と比較すると、下記の違いがあります。
猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)の特徴
・くしゃみ
・鼻水
・結膜炎による目ヤニ
のような一般的な風邪の症状
猫カリシウイルス感染症
・くしゃみ
・鼻水
・口内炎
・舌炎
のように猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)よりも辛い症状
口の中や舌に潰瘍ができるため、痛みからよだれをたらすようになり、口臭もきつくなります。
最近では、強毒全身性カリシウイルス病というものも報告されており、大人の猫ちゃんでひどい全身性の炎症や多臓器不全を起こすこともあり、細心の注意が必要となってきます。強毒全身性カリシウイルス病ではさらに即座な治療が必須です。
〜どんな症状が出るの??〜
上記にも書きましたが、さらに詳しく症状を箇条書きすると、
・くしゃみ
・鼻水
・口内炎
・舌炎
・高熱
・よだれ
・口臭
・漿液性結膜炎(目の周りが赤くなる)
・食欲低下
・鼻周りの潰瘍
・爪周りの潰瘍
猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)よりも辛い症状が出てきます。人間でも普通の風邪よりインフルエンザの方が辛いのは百も承知なので、容易に想像ができますね。
〜原因はなんなの??〜
猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)と同様に「接触感染・空気感染」と「母子感染(垂直感染)」が一番大きな原因になってきます。
接触感染・空気感染
感染した猫ちゃんを触った人間が感染してない猫ちゃんを触ったことで接触感染してしまうこともあります。
人懐っこい野良猫ちゃんをいい子いい子するのはいいですけど、その手で飼い猫ちゃんをダイレクトに触るのは止しましょう。
必ず手を洗ってから飼い猫ちゃんをスキンシップを取ってください。野良猫ちゃんはどんな病気を持っているかわかりませんからね。
野良猫ちゃんを触った手で、衣類や布団を触り、それらを経由して飼い猫ちゃんに移るパターンもあります。
飼い主さんが注意するポイントは、野良猫ちゃんや普段触れ合わない他の猫ちゃんを触ったら、飼い猫ちゃんを触る前に、必ず手をしっかり洗う習慣をつけることです。絶対ですよ!
感染している猫ちゃんがしたくしゃみや咳から移ることも多いです。くしゃみや咳で飛び散った唾を吸い込み感染します。猫ちゃん同士のグルーミング、猫ちゃん同士での食器の共有など鼻水やよだれからも感染します。人間の風邪も同じですね。
母子感染(垂直感染)
感染した母猫が子猫をグルーミングしたり母乳をあげたりすることで感染もします。
話は変わりますが、イギリスの調査チームが発表した2017年の研究にから、避妊手術を受けていない猫ちゃんはオスでもメスでもウイルスの体外排出リスクが1.7倍に高まることがわかりました。これは性腺ホルモンが原因による性衝動が外へと出かけるきっかけを与え、野良猫ちゃんと触れ合う機会が増加し、それに伴い感染のリスクも増加するのだと思います。飼い猫ちゃんを外に出す飼い主さんは要注意ですよ。
多頭飼いしていることもリスクを増やす原因となり、2~3頭の多頭飼いの家庭においてはウイルスの体外排出リスクが1.7倍、4~10頭の多頭飼いの家庭においては2.8倍に高まるとされています。
〜治療方法はどんな感じ??〜
こちらも猫ウイルス性鼻気管炎(ヘルペスウイルス)と同様に、一度でも感染してしまうと、回復後もウイルスが体に残り、ウイルスキャリア(ウイルスを臓器や血液中に持続的に所持していながら、普段は症状を呈さない健康な状態)となることがほとんどです。
対症療法
この猫カリシウイルス感染症ウイルスを直接攻撃して退治する特効薬はまだ見つかってません。
そのため、現れた症状に対する症状を軽減させるための対症療法がなされます。
最近では免疫力を高めるネコインターフェロンを投与することもあります。また、二次感染を予防するための抗生物質などを投与することで、通常であれば2週間程度で回復するでしょう。
ワクチン接種
このワクチンを打っている猫ちゃんが多いんじゃないかなと思いますが、猫カリシウイルス感染症にはワクチンがあり、最も一般的な「三種混合ワクチン」でカバーすることができます。飼い始めた段階で早めにワクチンを打って体内に抗体を作っておけば、比較的軽い症状となり、打ってない猫ちゃんよりも回復までに体力を使わずに済みます。
部屋の温度、湿度に気を付け、栄養のあるご飯をあげ、脱水症状を起こさないために飲み水が切れないように細心の注意を払ってください。
この病気の治療中は、口内炎や舌炎ができたりと口の中に痛みががあると自力では食べられないことも多いので、食道チューブの設置やシリンジを使ってご飯を食べさせたりすることもあります。
また、「様子を見てみよう。」と人間の身勝手な判断で治療が遅くなり、重症化してしまうと猫ちゃんの持つ自然治癒力だけでは完治することが難しくなってしまうため、早めに病院へ連れていってあげましょう。
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最後に
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