〜猫白血病ウイルス感染症とは??〜
猫白血病ウイルス(FeLV)の感染により発症する感染症を猫白血病ウイルス感染症と言います。白血病だけでなく、貧血や免疫力の低下、腎臓病、流産など様々な病気の原因になるため重大なウイルス感染症と言えます。
猫白血病ウイルス(FeLV)が人間の白血病の原因となるヒト成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)に似ているために白血病ウイルスと呼ばれます。ただ、実際には白血病よりも悪性リンパ腫を発症する場合が多いです。
病名に「白血病」と入っていますが、実際には白血病よりも上記のような病気を引き起こすことが多く、一度発症してしまうと完治する可能性はほとんどなくなってしまいます。また、このウイルスは人間やワンちゃんには感染しません。
〜どんな症状が出るの??〜
下記のような症状が出た場合、まずは動物病院にて獣医師さんに診てもらってください。
・発熱
・食欲の低下
・元気がない
・呼吸困難
白血球や赤血球が異常に増加・減少することが原因で、
・免疫不全
・貧血
・リンパ腫
・免疫介在性溶血性貧血
・血液疾患
・口内炎
などの二次感染の症状が単独または複数表れます。その後、最悪その他の様々な腫瘍を発症して死に至ります。
〜感染してから発症する確率は??〜
検査キットを用いた血液検査によって血液中のウイルスを検出します。感染後約4~8週間経たないと検出はできません。
新生児は感染してしまうとかなりの確率でウイルスを排除することはほとんどできません。
成猫では感染しても健康な状態であれば、自分の免疫力によって血液中からウイルスを排出し、発症しない場合もあります。
感染した後、血液中からウイルスが排出されない確率は年齢によって変わり、
・新生児:約90%
・生後6ヶ月:約50%
・成猫:約20%
と言われています。
猫ちゃんに症状が出ない場合でも、猫白血病ウイルス(FeLV)を排出できていないこともあるので6ヶ月〜1年ごとに定期検診を受診してください。
また、発症後、成猫では平均で感染後約3年で腫瘍が発生します。
ただ、中にはウイルスに感染していても10年以上生きている猫ちゃんがいる例もあります。
これは各猫ちゃんが生まれ持った体質によるので必ず長生きするとは言い切れません。
猫白血病ウイルス(FeLV)を排出することができず、持続感染してしまった猫ちゃんの70〜90%が1年半~3年の間に発症し、亡くなってしまいます。
また、遺伝によって感染することもあり、白血病の陽性反応が出ている親猫から産まれた子猫は1年以内に発症します。
〜原因はなんなの??〜
原因となる感染経路は「接触感染」、「母子感染(垂直感染)」があります。
猫ちゃんの体内に入り込んだウイルスは、血液中に含まれるリンパ球などによって全身行き渡ります。
そして、消化管や脾臓(読み方:ひぞう)のリンパ組織内で増殖し、最終的に骨髄内にウイルスが入り込みます。
接触感染
猫白血病ウイルス(FeLV)に感染している猫を介して「接触感染」します。
感染している猫の血液中に存在する唾液や涙、血液、糞便などに含まれたウイルスが、口や鼻の穴から入ることで感染します。
感染猫とケンカした時にできたケガを舐めたり、多頭飼いのご家庭ではグルーミングの際に猫同士で舐め合ったり、食器を共有したり、トイレの共有などでも感染する恐れがあります。
母子感染(垂直感染)
また、母親から胎児へ感染する「母子感染(垂直感染)」が起こることもあります。
〜治療方法はどんな感じ??〜
感染してから本当にすぐのタイミングであれば免疫力を高めるインターフェロンの連続投与により、回復する可能性もありますが、現段階で完全にウイルスを排除し、完治させる方法はありません。
基本的に猫白血病ウイルス(FeLV)の感染によって発症するさまざまな症状に合わせて治療をします。
腫瘍
腫瘍が発生した時点で、その腫瘍に見合った治療が行われます。
発症する病気の多くはリンパ種(リンパ腺の腫瘍)や白血病で、外科手術や抗ガン剤治療、放射線治療などを行います。
例えば、リンパ腫の場合は、抗ガン剤の投与で1年以上の生存を目標に治療します。
ステロイドのみの投与でも一時的に回復しますが、多くの猫ちゃんは約2~3ヶ月の命となります。
貧血
貧血がひどい場合はステロイド剤を投与したり、輸血を行うこともあります。
免疫力の低下
免疫力が低下している場合には、抗生物質やインターフェロンという免疫力を高める薬を使うことになります。
ただ、猫白血病ウイルス(FeLV)というものは非常に残酷なもので、現実は一度発症してしまうと完治するための治療法がありません。
猫ちゃんにのしかかる苦痛を和らげながら、病気の進行を遅らせる治療を行います(延命治療)。
〜予防方法はあるの??〜
猫白血病ウイルス(FeLV)は猫ちゃんの体に入らない限りとても不安定で、太陽光線や熱、消毒剤で感染力がかなり低下します。
接触感染からの予防
「接触感染」が大きな原因となるため、最有力の予防方法は猫ちゃんを家から出さず、感染している猫ちゃんと接触させないことです。
多くの場合、猫ちゃん同士のケンカで感染すると言われており、外出好きな猫ちゃんは注意を払ってあげてください。
特に、去勢していないオス猫はケンカの多いため、一番感染率が高いです。
多頭飼いをしているご家庭は要注意です。もし一匹でも感染している猫ちゃんが出てしまった場合は、他の猫ちゃんと部屋を分けたり、トイレや食器を分けたり、消毒したりと徹底して接触を無くし、他の猫ちゃんへの感染を広げないように管理してください。
母子感染(垂直感染)からの予防
「母子感染(垂直感染)」を防ぐため、親猫がウイルス検査をし、陽性が出たらときは子猫を産ませないために避妊手術を行うことが必要です。
ワクチン接種による予防
ワクチン接種という方法もありますが、100%効果があるとは言い切れません。
〜結局のところ〜
猫白血病ウイルス(FeLV)に感染したからと言って、すぐに発症するわけではありません。猫ちゃんの体がウイルスに負けないように、猫ちゃんがストレスをできるだけ感じない快適な生活環境作りをしてあげてください。
もし発症してしまった場合は、先ほども申し上げたとおり、完治させるための治療法は確立されていないものの、苦痛を緩和させるための方法は色々あります。
先ほど「多頭飼いしているご家庭では他の猫ちゃんとの隔離」と書きました。とても残酷で飼い主さんも心を痛めることと思います。実際にやるときはかなり勇気のいる判断・行動になります。ただ、そこは心を鬼にしてください。必ずです。「まだ大丈夫」と自分の都合のいいように考えないように今からでもシミュレーションしておいてください。
また、「しばらく様子を見てみよう」は禁物です。普段と違う行動・様子を見せたらすぐにかかりつけの病院へ行き獣医師さん診てもらってください。
私たちはたかが「飼い主」という名のど素人です。愛猫ちゃんの普段の生活変化くらいしか気付くことができません。それであれば、プロに診てもらってください。
仮に、「特に重大な病気ではない」と診断され、それでもしばらく良くなる兆候が見られない場合は、セカンドオピニオン(他の病院で再度検査してもらうこと)にすることも検討してください。人間と同じですね。
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最後に
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